願い星〜七夕 (15分〜20分)
   

作者:羽純せら


【登場人物】


空太(そらた)♂♀…小学校低学年 幼少時(4〜5歳)
母 ♀       …29歳
父 ♂       …享年30歳
医者♂       ※台詞数2つだけなので父と兼ね役で

※年齢設定はあくまで目安なので、自由に変えて頂いて構いません
 台詞の言い回し等も内容が変わらなければ変えてもらってOKです。



(幼い頃の回想)

母 七夕の夜空にはね、七星山(ななほしやま)の頂上に登ると見える
  願い星って呼ばれる ひときわ輝く星があってね、
  それを見ることが出来れば
  ひとつだけ願いを叶えてくれるっていう言い伝えがあるのよ

  それにね・・・・人は死ぬとお星様になるの・・・
  七夕の日に、織姫さまと彦星さまが、会えるように
  もしかしたら 死んじゃったお父さんも、その日は
  お空から、見ていてくれるかもしれないね

  ねぇ・・・空太・・・(泣く)

空太(幼)お母さん・・・どしたの・・・?お母さん・・?

母  ううん、なんでもないのよ・・(抱きしめる)

   お母さん一人でも絶対に空太のこと守るからね・・・


数年後〜

空太 お母さんお母さん!どうして僕の家はびんぼうなの
   友達は、誕生日もクリスマスにも一杯プレゼントもらえるのに・・・

   お母さんどうして僕にはお父さんが居ないの・・?
   どうして・・・

   お母さんはどうしていつもお仕事ばっかりで、僕を構ってくれないの?
   僕のことが嫌いなの?

母  ・・・・(困ったように悲しそうに微笑む)

空太 お母さんのばか!!お母さんは僕のことなんてどうでもいいんだ!!

母  空太・・・・

空太 もうお母さんなんて大嫌いだーー!!
   お母さんなんて、いなくなっちゃえばいいんだーー!!(飛び出して行こうとする)

母  空太!!待って!!空太っ う・・・ごほごほごほ(血を吐いて倒れる)

空太 え・・・お母さ・・・ん?

   っ!?血だ・・・お母さん!!お母さん!!!


(現在〜山を登っている)

空太 ・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・

(回想IN)

空太 え!?お母さんが・・・病気・・・?

医者 だいぶ衰弱しているね。かなり前から無理していたんじゃないかな・・?
   このままじゃ長くは生きられない
   それにしても、よく我慢していたよ、かなり苦しかったはずだ

空太 うそ・・・うそだ・・・
   うそだぁーーー!!(飛び出していく)

医者 空太くん!!!


(回想OUT)

(現在に戻って)

空太 はぁ・・・はぁ・・・

   ・・・・お母さんお母さん!!僕の為に・・・
   毎日毎日働いてばっかりで・・・・お母さん・・・・ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・!!

   はぁ・・・はぁ・・・・僕が・・・今度は・・僕がお母さんを助けるんだ・・・!
   お母さんはずっと僕の為に・・・・ずっと頑張ってくれたのに・・!


   (山を登っていくと、今まで以上に、ほとんど足場も無いとても険しい場所に出る)

空太 ・・・・わ。。なんだここ・・・登れそうなところなんてないじゃないか・・・
   でも、でも、ほかに行けそうな場所もないし・・・
   ま、真っ暗で・・・何も見えない・・・・・

   (ごくり)でも・・!い、いかなきゃ・・・僕がいかなきゃ・・・
   行かなきゃ駄目なんだ・・・!

   (震えながら、恐る恐るゆっくりと足を踏み出し歩き出す)

空太 行かなきゃ・・・・絶対に・・・たすけなきゃ・・
   んっ・・・わ、わぁああーーーーー!!(足を滑らせてずり落ちる)


《回想モノローグ》
母 七夕の夜空にはね、七星山(ななほしやま)の頂上に登ると見える
  願い星って呼ばれる ひときわ輝く星があってね

  それを見ることが出来れば

  ひとつだけ願いを叶えてくれるっていう言い伝えがあるのよ


空太 っ!!(目を覚ます)

   痛っ・・・あ、足が・・・

   でも、これくらい・・・お母さんの苦しみに比べたらっ

   願い星・・・・絶対に絶対に見つけてみせる!
   お母さんをこのまま死なせたりなんてしない・・・・!

   ・・・・お母さん・・・ずっと辛かったんだろうな・・・
   一人で・・・・ずっと・・・

   僕はわがままばかりで・・・

   いつもお母さんを困らせてばかりで・・・

(途中泣きそうになりながら涙をぬぐい)
   ・・・・・行かなきゃっ




空太 はぁ・・はぁ・・・ずいぶん登ったなぁ・・・

   後・・もうすこしっ・・・・

   あ・・・!!


(目の前が開ける)


空太 頂上だぁ・・・・!!!

   やっと来たぞー!!やった・・・ははは!!!

   やっと頂上に着いたーーー!!!


(空を見上げて異変に気づく)

空太 あ・・・あれ・・・?

   空が・・・曇ってる・・・

   星が・・・見えない・・・・

   そんな!
   そんな・・・そんな!!!

   嘘だ・・・嘘だ・・!!(その場に立ち尽くす)


(目を瞑り、必死に手を合わせてお祈りをし始める)

空太 お星様・・・・お願いです・・・
   お母さんの病気を治してください・・・・
   お願いします!

   僕はどうなってもかまいません!
   僕はご飯が食べれなくなっても、プレゼントだって、もう何にも無くたっていいですっ!
   お母さんが居てくれたらそれでいいです!!

   お願いします・・・!!お願いします・・・
   願い星・・・!!出てきて・・・お願いだ!お願いだよ!!姿を現して!

   お願いしますっ!!



(空は相変わらず厚い雲に覆われたまま)

空太・・・・うっうわ・・・うああああんーーー!!(泣き崩れ、そのまま疲れと痛みで眠ってしまう)





(光をまとった人物が声をかける)
?? 空太・・・空太・・・

空太 ん・・・誰・・・・?

(目をこらしてみると、幼い頃に死んでしまった、父の姿が浮かび上がる)
父 空太・・・

空太 !!!・・・お・・お父さ・・・ん・・・?

父(優しく微笑むと頷き)空太・・・・よく、頑張ったな・・・えらいぞ

空太 ・・・お父さん・・・お父さんっ・・・!!

父 もう大丈夫だ・・・安心しなさい

空太 え・・・・?

父 ほら、空を見上げてごらん・・・?


空太 !?星が・・・星が(空一杯に満天の星空が広がっている)

   ど、どうして・・・さっきまで、厚い雲に覆われて何も見えなかったのに・・・

父  空太の想いが・・・・願い星に届いたんだよ

空太 願い星に・・・・?

父 (うなずく)

(満天の星の中ひときわ輝く美しい星が空太の瞳に映る)

空太 ・・・・・ねがい・・・星・・・・・・

父(微笑む)


父 もう大丈夫だ・・・さぁ、早く家に帰りなさい・・・母さんが心配してるぞ


空太 ・・・・本当?本当にもう大丈夫なの?

父 ああ。(頭をなでて)・・・・空太、俺の代わりに母さんを・・・頼むぞ・・

空太 お父さん・・・・うん、うん!僕、頑張る!絶対に・・・!今度は僕がお母さんを守るんだ!
   (今までの空太とは違う、たくましく成長した意志の強い瞳で父を見上げる)

父  (父嬉しそうに微笑むと、ゆっくりと星空に溶けるように姿が消えていく)





空太M それから、僕は家に帰ると、お母さんが待っていてくれた。
    そして泣きながら僕を抱きしめてくれた・・・

    お母さんは不思議なことに、それからどんどんと見違えるほど元気になっていった。

    お医者さんにも奇跡だって言われたけれど、僕は知ってる

    願い星が、僕の願いを叶えてくれたんだ・・・・

    でも、あの夜の事は、お母さんにも秘密なんだ・・・僕とお父さんとの約束も・・・


    願い星・・・・ありがとう・・・


    僕・・・頑張るからね!


《回想モノローグ》

母 七夕の夜空にはね、七星山(ななほしやま)の頂上に登ると見える
  願い星って呼ばれる ひときわ輝く星があってね
  それを見ることが出来れば
  ひとつだけ願いを叶えてくれるっていう言い伝えがあるのよ




空太 願い星・・・・七夕の夜に起きる奇跡の物語・・・

   あなたの願い事は・・・なんですか?


【END】